さて、ここまで数値積分の話をしたわけだが、微分方程式の数値解法と数値積 分はもちろん非常に良く似たものである。が、大きな違いは、数値積分では被 積分関数が
と、独立変数の陽な関数として与えられていたのに対し、微分方程式では
と積分された結果自体に被積分関数がよっていることである。このために、話 がすこし複雑になる。
例えば、もっとも簡単な中点公式の場合を考えてみよう。数値積分の場合には、 単に
であった。微分方程式の場合、問題は での x の値を我々 はまだ知らないということである。
この困難は、数値積分が近似多項式の積分として与えられたということを思い 出せば一応解決できる。中点公式の場合、数値積分ではこれはfを で近似するということに相当した。同様なアイディアを微分 方程式に適用すれば、微分方程式の場合、 fを定数で近似し、その結果解で ある x を一次式で近似する、つまり
という近似をする。これから、問題の中点での値を と書くと
と書けるわけで、これは に対する代数方程式になっている。これを 解けば数値解も求まるわけである。
一般には、n次のルジャンドル多項式から導かれる公式では、fの n-1次 近似多項式を構成することになる。これを前節と同様 とし、零点を とすれば、での「解」 が
がなり立ち、さらに
がなり立つように と L を決め、それを積分して での解が求 まるということになる。
と書くと非常に大変そうだが、係数をあらかじめ計算しておけば上の手続きが 陰的ルンゲクッタ公式として表現できる。これで、例えば 4 段で 8 次の公式 が実現出来るわけである。