前節で述べたように、調査対象は京都大学物理学第二教室の林忠四郎を 中心とするグループ(A)と、東京大学天文学教室の海野和三郎を中心とす るグループ(B)である。それぞれのグループに属するメンバーは、基本的 に福江、黒川[4]によった。ただし、欠落の可能性があるものについてはグ ループのメンバーに直接チェックしてもらうことで補った。なお、研究 グループのメンバーの研究成果としては、組織上そのグループにいた (スタッフあるいは大学院生として)期間のものだけをカウントした。 なお、調査の対象とした期間は 1969年から 1983年までである。
この2つを対象に選んだ理由は以下のようにまとめられる。
調査の方法は以下の通りである。 Astronomy and Astrophysics Abstracts (A & A Abstracts) により、調査期間のグループメンバーの 論文のうち refereed journal に発表されているものすべてについて論 文発表年、著者(筆頭著者およびすべての共著者)、分野のデータベー スを作成した。分野の分類は A&A Abstracts に従ったが、表 1のように大きく分野わけをした。この分類は若干恣意的なも のであるが、結果のところで見るように分類の恣意性が大きく結論に影 響することはない。
引用度については、 Science Citation Index を用いて調べた。1963年 から1973年までに発表された論文については 1979年までの、1974年から 1979年までに発表された論文については 1984年までの、1980年から1983 年までに発表された論文については 1989年までの引用数をしらべた。た だし、著者自身(共著者も含む)による引用はカウントしていない。年 代のとり方のため、出版年によって引用度を測定する期間に幅ができる が、これは結果には大きく影響することはないと考えられる。これは、引用の ほとんどは出版されてから5年間に起きるからである。
なお、調べた指標は以下の通りである。
なお、サブグループとは、一つのまとまったテーマについて複数の論文 を発表しているグループをいう。典型的には2-4人程度からなる。