補外法はまだ比較的新しい方法であり、理論的に良くわかっていないことも多々 ある。ここでは、そのいくつかの問題点について簡単に触れる。
次週以降の話題の先取りになるが、陽的中点公式は安定ではないということが 知られている。ここで、安定ではないとは、安定な線形常微分方程式に適用し た時に、数値解が0にいかないということである。
このことが問題かどうかははっきりしていないが、理論的にはそういう問題を 押えるはずである方法というものが知られている。
これまで、補間にはいつでも多項式を使ってきたが、これはもちろんもとの関 数がよい性質(近くに特異点がないこと)を持っていることを必要とする。こ れに対し、有理関数補間をすれば、近くに特異点があってもうまくいく(かも しれない)。というわけで、有理関数で近似すればいいことがあるのではない かという話になる。
有理関数となると一意には決まらないが、通常は分子と分母が等しい次数にな るように作る。補外法にこれをつかったものを Bulirsch-Stoer 法と呼び、ラ イブラリなどではこれが実装されたものが多い。が、グラッグ法に比べて圧倒 的にいいかというと、そうでもないようである。