さて、硬い微分方程式とは何かということだが、例えば以下のような化学反応 系を考えてみる
各物質の濃度を と書くことにすれば、それぞれの従う方程式は、 例えば
というようなものになる。
係数がたくさんあって面倒なので、以下 , とし、初 期条件として
という場合だけを考えることにする。
図11.1 に、 として、前進オイラー法および後退オイラー法で 解いた場合の数値解の例を示す。この時の定常解は というところになる。グラフに示しているのは と である。
滑らかに収束しているのは、前進オイラー法で ととった ものと後退オイラー法で ととったものである。これに対し、振動的に発 散してしまっているのは前進で の場合である。非常に点 が荒く、途中での誤差が大きいが最終的には真の値にいっているのは、後退オ イラー法でと極端に刻みを大きくしたものである。
なお、この計算例では、保存則
を利用して、方程式から を消している。
化学反応系のような非線形の方程式系では、上の例のように速度定数が大きく 違うということはそれほど珍しいことではない。上の例では であ るが、これが何桁も大きい場合というのもある。こういった場合にどういう方 法を使うべきかというのが今日考えていきたいことである。