21世紀のことを考えるにあたって、まずは今世紀の天文学の発展を振り返ってみる必要がある。それぞれのdecadeの特徴が何であったかは、次のようにまとめられる。
このような観測の進歩の反面、理論活動はその影に隠されたかのように見える。天文学において、理論は観測結果を再現することの重要性が強調される。しかし理論の本筋は、観測に合うようにモデルを調整することではない。天体現象を一般的に解釈し、そこから新しい概念を導き出し、その進化のストーリーを構築し、何を観測すると break through のキーとなる新しい概念に導かれるかを予言するのが、理論の役割である。観測との比較は、こうして展開した理論が正しいかどうかをチェックするために必要なのであり、その意味では、物理実験と理論物理学との関係と同じである。当然、観測から理論に対するヒントは得られるが、そのためには観測が詳しいばかりでは十分でない。観測もモデルも、新しい概念へつながる部分をえぐり出すものでなければならない。
1960-70年代の理論は、そのようなものであった。その成果は星の進化論、大局的宇宙の進化論として花が開いた。それには、新しく持ち込まれた物理が大きい役割を果たした。原子核物理、一般相対論、分子とメーザー現象などである(カオス、力学系の理論などはまだもう一つである)。それに対し、銀河に関するこれまでの理論は、敢えて言うならば、断片的である。