next up previous
Next: 4 初期値問題の解の存在 Up: システム数理IV Previous: 2 なぜ数値解法をやるのかということ

3 解の存在

まあ、ここまではお話しなので適当にきいていてくれてかまわないんだけど、 ここからは本題。

微分方程式系が与えられた時、それに解があるかどうかというのと、それが可 積分かどうかというのは別の概念である。というわけで、 「常微分方程式に解がある」とはどういうことかという話をする。以下、面倒 なので1変数の場合、すなわち

で話をするが、今日の議論はそのまま多変数に拡張できる。あ、それから、こ の講義ではほぼ初期値問題だけを扱う。初期値問題とは、要するに上の方程式 のある時刻での解の値(初期条件)が与えられて、そこから時間(とは限らな いが、独立変数)を変えていった時の解が欲しいというものである。

境界値問題というものもある。例えば、まっすぐな棒を一方の端でもって支え たら、重力で少し曲がる。これは、一方の端は固定されていて、他方は自由だ が、導関数についてみると条件がつく。こういうのが境界値問題ということに なる。両端でささえたときにどう曲がるかというのも境界値問題であり、境界 条件の付け方がちがう。また、線形の固有値問題というのも応用上は重要であ る。

解法という観点からすると、境界値問題等は初期値問題の応用と考えられるの で、この講義では基本的に初期値問題を扱うことにしたい。



Jun Makino
Sun Apr 25 21:52:36 JST 1999