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この講義では、一般にシステムを解析するための強力な手法である数値シミュ
レーションのなかで、特に常微分方程式系の解法を概観することにしたい。
まず、事務的なことを:
http://grape.c.u-tokyo.ac.jp/~makino/kougi/system_suuri4_1999/overall.html
にシラバス、配布資料があるので必要に応じて見ること。
- 数値解析入門(三井著、朝倉書店、1985)
- 微分方程式の数値解法 I(三井著、岩波講座応用数学、1993)
- Numerical Hamiltonian Problems, J.M. Sanz-Serna and
M.P. Calbo, Chapman & Hall 1994
をあげておく。「数値解析入門」は絶版らしいが、常微分方程式の数値解法に
ついて初歩から高度な方法まであつかった日本語でよめる本としてはもっとも
優れたものであるといってよいと思う。その次は同じ著者のもうちょっと薄い
本で、薄くなったのに内容はあまり減っていないのでちょっと難しい。
英語でよい本はいくつかあるが、それらは上にあげた本に紹介されている。こ
こであげたのはハミルトン系(普通の運動方程式で書けるということ)に対し
て特化した、シンプレクティック法と呼ばれる方法の概説書である。
あと、数値解析の前に、解けるような常微分方程式とか、解の存在/一意性、
安定性等についての一般理論の概説としては、多数の本があるが、
は平易な語り口でよい。また、新装版も出たようである。
レポート である。講義中にいくつかレポート課題をだすので、そのなかから
何題か選んで解答してもらう。なお、数値計算法の講義であるので、実際にプ
ログラムをつくってもらうような課題もある。
講義案内にも書いたように、以下のようなテーマ(1つ1週というわけではない)
を扱う。
- なぜ数値解法をやるかということ
- 常微分方程式の解の存在と数値解
- 解法 I :ルンゲ・クッタとそのバリエーション
- 解法 II :線形多段階法
- 解法 III:補外法
- 安定性と大域誤差---数値解はどれほど「正しい」か I
- 「硬い」方程式とそのための解法
- ハミルトン力学系とそのための解法
- 後退誤差解析---数値解はどれほど「正しい」か II
- 「振動的に硬い」方程式
Jun Makino
Sun Apr 25 21:52:36 JST 1999