というわけで、線形のハミルトニアンをもつ場合、つまりは調和振動の場合に は、周期性区間とか P-安定とかいった概念が定義できる。この時、真の解と 数値解の関係はどうなっているかということを考えてみる。
どちらも調和振動になっているわけなので、厳密解と数値解で違うのは周期だ けである。詳しい説明は省くが、厳密解と数値解の角振動数に対して、
という関係があることが証明されている。つまり、周期性区間に入っている場 合、周期自体の誤差が押えられているのである。
この場合、例えば位置や速度の大域誤差というものを考えた時、ずっと前にやっ たような時刻の指数関数的に増える誤差評価ではなく、時間の 1 次式でしか 増えない精密な誤差評価が可能になる。つまり、大域誤差の意味で求まった解 がどの程度正しいかということが(丸めを別にすれば)厳密に議論できること になる。