本文中で引用した文献の他に、有用なテキストをあげておく。
常微分方程式の数値解析についての、日本語で読める本としては
三井斌友:数値解析入門、朝倉書店(1985)
三井斌友:微分方程式の数値解法 I、岩波講座応用数学、岩波書店(1993)
がある。著者は同じで、内容もかなりオーバーラップしている。上の本の方が説明が丁 寧でわかりやすいと思うが、絶版で入手困難かもしれない。下の本はより新し い成果まで取り上げられている。
シンプレクティック法については、
Sanz-Serna, J.M. & Calbo, M.P.: Numerical Hamiltonian Problems, 1994, Chapman & Hall
がある。
数値計算アルゴリズムの本としては
戸川隼人:新装版UNIX ワークステーションによる科学技術計算ハンドブック、 サイエンス社 (1998)
をあげておく。 UNIX の基本的な使い方から、線形計算、非線形方程式、固有値問題、数値積 分、補間、常微分方程式までの広範な分野をカバーする大著である。説明、プログラ ム例のどちらもきちんとしていると思う。同様な本としては、有名な
Press, W. H., Teukolski, S. A., Vetterling, W. T., & Flannery, B.P.: Numerical Recipes in C -- The Art of Scientific Computing, 2nd edition, Cambridge University Press (1992)(丹慶勝市他訳:Numerical Recipes in C [日本語版]、技術評論社(1993))
がある(翻訳は第一版)が、特に常微分方程式の数値解法については不適切な 記述が多く、第一版はあまり勧められない。第二版では多少改善されている。
伊理正夫、藤野和建:数値計算の常識、共立出版 (1985)
は、読み物的なものだが、数値計算を実際に使う際に起きる奇妙な現象や問 題点などをわかりやすく解説している。