next up previous
次へ: 4 Dynamical Friction 上へ: 理論天文学概論 戻る: 2 粗視化エントロピー

3 Landau Damping 続き

ちょっとここで話を変えて、もう一度 Landau Damping というものを考えてみ る。最初の話では重力を無視したが、しないとどうなるか、ということである。

この解析は実は結構難しい。というのは、もともと phase mixing というもの はあるので、重力が効くかどうかに無関係に摂動はどんどん減衰していくから である。しかし、とりあえず、重力を考えるとどんなことが起きるかをちょっ と整理してみる。

今、とにかくポテンシャルの波というのがあって、速度 $v_w$ で動いている とする。これに対して速度$v_p$ で動いている粒子があるとしよう。この粒子 と波の相互作用というものを考えてみる。

今、 $v_p \sim v_w$ 、つまり大体同じ速さで動いていることにすると、粒子 はその波に対する相対的位置によって受ける力の方向が変わる。波に対して遅 れていれば引っ張られるし、そうでなければ減速される。このため、初期にど ういう位相にいたかによって、大きくエネルギーをもらったり失ったりするも のがあることになる。

ただし、波が無限に長い間維持されていれば、無制限にエネルギーをやりとり 出来るわけではない。これは、座標変換して波が止まっている座標でみれば当 然のことで、あるポテンシャルの谷のなかに止まっているか、それとも超えて 動いていくかのどちらかであって平均すればエネルギーのやりとりは起きない ことになる。

しかし、さらに、ポテンシャルの波が指数関数的に減衰する場合、というのを 考えることができる。そうすると、それとつじつまがあうような分布関数の摂 動とその減衰を考えることができる。



Jun Makino 平成20年6月11日