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前節では、Collisionless Boltzman 方程式の速度空間でのモーメントを考え
て Jeans 方程式を導いた。ここではさらに空間全体のモーメントをとる。
式6において、密度
を質量密度
で置
き換え、さらに
を掛けて空間全体で積分する。
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(13) |
右辺の最初の項は、例によって発散定理を使って書き直せる。
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(14) |
これは、運動エネルギテンソル
の定義を与える。ついでに第
二項はポテンシャルエネルギーテンソル
と呼ばれるものであ
る。
さらに、
の定義を使って、
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(15) |
但し
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(16) |
さらに、
についての式と
についての式を足してやると
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(17) |
さらに、慣性モーメントテンソル
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(18) |
を導入して、連続の式とか発散定理とかを使うと
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(19) |
で、結局
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(20) |
これをテンサービリアル定理という。
さて、今定常状態 (
の時間微分が0)を考え、さらに上の式のトレースを
とってみると、
,
の定義からこれらの寄与は全運動エネルギー
の
2倍になる。
の方は、
の定義を使えば
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(21) |
ここで
と
を入れ換えた積分を書き、両方を足すと
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(22) |
というわけで、
は系の全ポテンシャルエネルギーである。結局、
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(23) |
が成り立つ。これを、スカラービリアル定理、または単にビリアル定理という。
今、系の全エネルギーを Eとすれば、
であるから、
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(24) |
ということになる。つまり、定常状態にある自己重力恒星系では、必ず全エネルギーは
ポテンシャルエネルギーのちょうど半分であり、絶対値が運動エネルギーに等
しい。これは球対称とかそういう仮定なしに常に正しい。
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Jun Makino
2003/11/9