講義第6回:Web とネットワークニュース
さて、今回は前半部(計算機を使ったコミュニケーション)のまとめととして、
以下の2つを簡単にまとめる。
- WWWに載せる文書(HTML文書)の作り方
- ネットワークニュースについて
Web に文書をのせる
Web (World Wide Web または WWW)上でいろんな情報を見るというのは、これ
までやってきたわけだが、今回は、これを使って自分で人に情報を提供すると
いうことをやってみよう。
Web では、複数の文書(絵が入っていることも多いが)を、「ハイパーテキスト」と
呼ばれる概念にしたがって関係付ける。
というと偉そうだが、要するに、ある文書のなかに、「他の文書はどこにあ
るか」という情報を書き込んでおいて、 Netscape や Mosaic などの Web
brouser では、その情報が書いてあるところでマウスボタンを押せば、その文
書を画面に表示するというだけの話である。
こういった Web 用の文書を書くための規則が、 HTML (HyperText Markup
Language) と呼ばれるものである。詳しい使い方とかは、書店にいけば山ほど
本があるので、興味に応じて適当なものをみるのがいいと思う。また、Webで
見られるものもいろいろある。その中でも、慶応 SFC
の学生が作った、 NCSA による入門書の翻訳は参考になる。また、ここか
らさらにいろいろなリンクをたどってみと、役に立つものも見つかる。
ここでは、以下のような簡単な文書を作ってみる。
- タイトル、小見出しがある。
- 図がある。
- 他の文書へのリンク(いき先指定)がある。
以下の手順で作業をしていこう。
- 文書をつくってみる。
- 他の文書へのいき先指定を書く。
- 絵を入れてみる。
文書を作ってみる。
文書を作るのはいいが、作っただけではそれは誰も見ることができない。
とい
うのは、その文書のありかがどこにも書いてないからである。この情報処理棟
のシステムでは、HomePageのあ
るユーザ一覧というところに、皆さんの作った文書が登録される
ような仕掛けになっている。これを利用するためには、
- join-w3 というコマンドを実行する。 (詳しくはこちら)
- .public_html というディレクトリを、自分のホームディレクトリの下に作る。
- の下に、 index.html というファイルを作る。
- .public_html, index.html を、「外から見える」ようにする。
.public_html というディレクトリを作るには、シェルウインドウで以下のようにすればいい。
cd (ホームディレクトリに戻る)
mkdir .public_html
もともとホームディレクトリにいるなら、最初の cd はなくてもいい。
次に、ファイルを作ることにする。これには、 mule で、まず新しいファイル
を開くことにする。メニューで、 File -> Open File の順で選ぶか、 Ctrl-x
Ctrl-f とキー入力すると、
Find file:~/
とか聞いてくる。(~/ の代わりに、 /home/gXXXXXX/ とか
/a/fsXX/homeXX/gXXXXX/ とか出るかも知れないが、意味は同じである)ここ
で、
.public_html/index.html
と答えると、ディレクトリ .public_html の下に index.html というファイルを作る。
例えば下のようなものをつくるとすると、
テストのページ
これは、テスト用のページです。
山口先生の
ところへのリンクを書いてみた。
絵を入れてみる。
ファイルは
<HTML>
<HEAD>
<TITLE>テスト用ページ</TITLE>
</HEAD>
<BODY>
<H1>
テストのページ
</H1>
これは、テスト用のページです。<p>
<A HREF="http://www.komaba.ecc.u-tokyo.ac.jp/~yamaguch">山口先生の
ところへのリンク</A>を書いてみた。
絵を入れてみる。<img src=tgifsample.gif>
</BODY>
</HTML>
というようなものである。これを作ったらセーブしておく。
上の文書を簡単に説明すると、
- HTML では、Latex と同じように文書にコマンドを埋め込み、それを表
示のときに解釈するしかけになっている。で、コマンドは、
<command> ..... </command> という風になっている。
- 文書の見出しなどは、<Hn> ..... </Hn> という風に書く。
(n は 1...9の数字)
- パラグラフの終りは <p>で指定する。
- 他の文書へのリンクは、
<A HREF="文書のありか">画面にかくこと</A>という形にする。
例えばg123456さんのホームページにリンクを張るとすれば、
<A HREF="http://www.komaba.ecc.u-tokyo.ac.jp/~g123456">g123456さん
のお家</A>というふうに書く。また、同じディレクトリに作っ
た他のファイルへのリンクを作るなら、単に<A
HREF="test.html">test.htmlへのリンク</A>と書く。.public_htmlの下にさら
にディレクトリをつくって、そこにファイルをおくなら、.public_html/を頭に
つけた名前を指定すればいい。
- 絵を入れるには、あらかじめ別に絵のファイルを作っておいて、
それがtgifsample.gif という名前なら<img
src=tgifsample.gif>という風に書く。この絵のファイルの作
り方は以下に説明する。
絵の作り方
絵の作り方はたくさんあるが、ここでは「画面に出ている絵を切りとってしま
う」方法について説明する。Tgif とか xpaint で絵を書いて、その絵が出て
いる状態で、 xv というコマンドを実行する。xv と書かれたウインドウが出
てきたところで、そこでマウスの右ボタンを押すと、 xv controls と書かれ
た新しいウインドウが出てくる。
その右下の Grab というところで今度は左ボ
タンを押すと、さらにもう一つウインドウがでてくる。
で、何をすればいいかは書いてあるとおり。あるウインドウ全体を切りとることと、指定した範囲を切りとることができる。「Grab」と書いてあるところをクリックしてから、
- あるウインドウ全体を切りとるには、切りとりたいウインドウにマウスを持っていって、左ボタンを押す。
- 画面上の指定した範囲を切りとるには、切りとりたいところの左上
(というか、切りとる長方形領域の頂点のどれか)にマウスを持っていき、中央
ボタンを押し、そのまま対角線側の頂点に持っていく。(長方形が表示される)
必要なところで手を離すと、その中身がコピーされた新しいウインドウができ
る。
ここで、 xv controls のほうに戻って、こんどは Save を押すと、
こんなウインドウが出てくる。ここで Save file: のところに名前をいれてや
り(ここでは xv_controls.gif)、 Format が GIF、 Colors が Full Color
になっていることを確認して(そうでければ変更して) Ok を押せば指定した
名前のファイルができる。
なお、 xpaint では、ファイルをセーブする時に、「gif」形式というものを選んでおけばそのまま使える。Tgif も、同様なこともできるようである。
現在のところ、センターが提供しているxv では、画面の切りとりが動かないことが
ある。そのときは、 ~makino/bin/xv.old を代わりにつかってみること。
自分で見る
さて、このようにして作った HTML 文書は、とりあえず自分でみることはでき
る。これには
mosaic .public_html/index.html
なり、
netscape .public_html/index.html
とシェルウインドウで入力するか、あるいはすでにこれらが動いているなら、
netscape なら File->Open File で選ぶ。Mosaic なら File->Open Local で
ある。
具合が悪ければいろいろ手直ししてみる。また、飾りとかいろいろつけたいと
いう人は、とりあえず上にも紹介した、慶応
SFC の学生が作った、 NCSA による入門書の翻訳をみていろいろやってみ
ること。
人が見られるようにする。
このようにしてファイルを作っても、それだけではまだ他人が見ることができな
い。これは、ここの計算機システムでは、デフォルトでは(特に指定しないと)
自分が作ったファイルは人に見せないという設定になっているからである。こ
れを、見えるようにするには、 chmod というコマンドを使って、ファイルを
人が見れるようにしておく。具体的には
cd .public_html
chmod og+r index.html
とする。これで、明日には「ホームページ一覧」に登録されるはずである。
注意!
WWWに載せた文書は、全世界どこからでも読めるようになっている。従って、
勝手にいろんなもののコピーをとって、のせておいたりすると著作権や肖像権
の侵害になることがあるので注意すること。また、ここの計算機設備は、あく
までも「教育」のためのものなので、その目的から著しく外れる内容のものは、
外からのアクセスができないようにすることもあり得る(昨年あった)。
ネットワークニュース
さて、最後に、ネットワークニュースというものについて簡単に触れておく。
これは、パソコン通信では「掲示版」とか「フォーラム」(会議室)とかいう
ような、不特定多数の人が(パソコン通信の場合には原理的には不特定ではな
いが)メッセージを読み書きできる仕掛けである。
まず、使ってみよう。右下のウインドウ(mule のウインドウ)で、 ESC x
gnus (ret) と入力する。しばらくすると、下のようなものが出た画面になる
はずである。
17: alt.0d
12: alt.2600.hope.tech
5: alt.2600hz
67: alt.3d
1: alt.Cajun.info
1: alt.abuse.offender.recovery
2: alt.abuse.recovery
3: alt.alcohol
2: alt.aldus.freehand
1: alt.aldus.misc
70: alt.aldus.pagemaker
......................
これは、「ニュースグループ」のリスト画面である。数字の後に書いてあるの
がニュースグループの名前で、数字はそのニュースグループにまだ読んでいな
い記事がどれだけあるかである。
ニュースグループというのは、ようするに表題であって、その表題に関するい
ろんな記事を世界中の人が書いたものがそこを選ぶと見ることができる。
さて、このネットワークニュースの一つの問題は、「余りに膨大な量のニュー
スが来る」ということである。これは、世界中の人が書いたものが、ほとんど
何の査読もなしに来るからである。これを頭から順に全部読むのは無理なので、
自分が関係あるところを探す必要がある。これには、 mule の incremental
search というコマンドを使うと便利である。 Ctrl-s を押すと、I-search:
と聞いてくる(一番下の行で)ので、
lectures.g98
と入れてみよう(リターンキーは押さないこと)すると、
lectures.g97.jousho.xxxというような名前のニュースグループがいっぱい
出てくるはずである。
なお、 incremental search というのは、キーを押していくとそこまでで一致
した文字の並びが出てくるところにカーソルを移動してくれる。探すのをやめ
てカーソル編集できる状態に戻すには ESC を押す。
さて、 lectures.g98.jousho-makino-S-Mon-1 というニュースグループがあるは
ずなので、その行にカーソルを持っていき、スペースを押す。と、
D 1:+[ 7:makino@komaba] Welcome!
と出てその下になにか僕の書いた文書が出ている。このように、僕が書いた文
書がメイルで送らなくてもこの計算機システムのユーザ全員に見えるわけであ
る。
さて、前にもいったように、ネットワークニュースでは世界中から送られてく
る記事を読むことができる。名前が lectures で始まるのはこのセンター内だけ
で読めるものであるが、例えば fj で始まるもの(主に日本語のニュースが
書かれる)は全世界に送られている。その他の、 alt, comp, soc, rec といっ
たもの(これらは普通英語)も同じである。 u-tokyoで始まるものは東大の中である。
ニュースを読む
少しあちこちのなかを覗いて見よう。あるニュースグループに入るにはその行
にいってスペースを押す。すると、そのニュースグループにあるメッセージの
一覧と、先頭のメッセージが出る状態になる。メッセージの後ろのほうを読む
のにはさらにスペースをおすというのは mh の時と同じである。飛ばすには、
nを押すと次のニュースに移動する。また、ニュースグループを読むのをやめ
るには q を押す。
ニュースを書く
今読んでいるニュースグループに自分も何か書きたいことがあるであろう。こ
れには2つの場合がある。一つは誰かが書いた記事に返事(フォロー)をする
ことで、もう一つはなにかあたらしく書くことである。今読んでいる記事のフォ
ローには、ただ F(大文字) と押し、あとは質問に答える。操作の仕方はメ
イルに返事を書くのと同じようなものである。新しく書くためのコマンドは a
である。
なお、ニュースはメイルとは違って、 lectures でも教養学部全体(学生、
教官両方)、u-tokyo で東大全体、それ以外では全世界の人が読んでいる可能性
がある。非常識な振舞い、マナーに外れた行為などはしないように「補遺」や
参考書(ハッピー・ネットワーキング)のマナーに関する項を良く読み、理
解してから書くようにしよう。実際に、東大の学生のなかにも、ちょっと変わっ
た振舞いをするというのでなかなか有名になってしまった人が何人もいる。
また、ネットニュースではないが、商用パソコン通信での同様な掲示版では名誉毀損で損害賠償を請求する裁判がおこり、原告側の要求が認められた。
なお、特に fj に記事を書く場合には、 fj.1st-readme に出ているガイドなどを良く読んで、ソフトの設定や記事の書き方に注意すること。
課題
1は必須、2は選択課題である。
- LATEX で文書を作る。表紙には学生証番号、科類、クラス、名前を
(もちろん LATEXで)書き、2ページ目以降に文章を書く。文章の内容は特に
問わないが、何も思いつけない人は履歴書風のものをつくってみること。例え
ば以下のようなものくらい。なお、
図、数式、表などが入っていればそれに応じて評価される。
\begin{document}
\begin{center}
\Large 履歴書\\
\today\\
\end{center}
氏名 牧野淳一郎
生年月日 196X年X月X日(満XX歳)
性別 男
学歴
.........
........
平成X年3月 東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士課程修了、学術博士
職歴
平成X年4月 東京大学教養学部助手
平成X年4月 東京大学教養学部助教授
\end{document}
なお、\newpage でページを変えられる。
- 自分のHomepage を作る。
なお、LATEX の場合、紙をレポートボックスに出したりするのではなく、
- ポストスクリプトファイルの形で自分のところにおく
- ファイルが出来たということをメイルで知らせる
という手順をとってもらうことにする。ホームページの場合は単に作ったとい
うことをメイルで知らせてくれればいい。
Latex の場合、手順は以下のようにすること
- latex のファイルを作り、 jlatex コマンドで変換し、 xdvi で見て作りたいものができていることを確認する。
- dvi2ps filename > kadai2.ps というコマンドを実行して、ポストスクリプトのファイルをつくる。
- ホームディレクトリの下に jyousho-kadai というディレクトリを作る(作り方がわからない人は HWB などで調べる)
- いま作った kadai2.ps を mv または cp コマンドで jyousho-kadai の下に移す。
- うつした kadai2.ps を chmod コマンドで人から見えるようにしておく。
メイルは cc76809 宛に Subject を kadai-2A (Latex の場合)または
kadai-2B (ホームページの場合) として、「課題2を提出します」というメイ
ルを送ること(Subject があっていれば本文はなんでも構わない)
〆切は再来週の講義の時間である。
次週予告
来週からは、「情報処理の原理」ということで、簡単なプログラミングを通じて計算機はどういうふうに動いているかということを学んでいくことにする。言語は Pascal か C++ を予定している。