講義第一回:ガイダンス

今日は「情報処理」ガイダンスということで、これからの半年間でだいたいど んなことをやるかという話をする。 「情報処理」という言葉から、どんな内容を連想するだろうか?例えば以下の ような様々な内容がある。 もっと他にもあるかも知れないが、この講義では、一応上のような内容を(広 く、浅く)カバーすることを目指す。より具体的には、大体以下のような内容 をカバーしたい。 まあ、これだけ全部はできないかも知れない。

教科書等

教科書は標準としては「情報処理入門」(山口和紀、東大出版会)および「情 報処理入門補遺[UNIX対応版]」を使う。これらでは不足な部分を補うための参 考書としては、 などをあげておくが、書店にいけば非常にたくさん本があるので、自分の興味、 理解度に合わせて適当なものを選ぶことが必要である。

なお、来週以降に適宜紹介していくが、自習用の教材を準備している(ハイパーワークブック)ので、興味、必要に応じて使うこと。

成績評価

成績評価は出席、レポート、試験を適当に重みをつけて行なう。出席点はそ んなに大きくはない。レポートと試験は 4:6 程度の予定である。

計算機の原理

今日の残りの時間で、計算機の仕掛けについて簡単にまとめておこう。

計算機とは、もともとはその名前の通り「計算する機械」である。現代的計算 機の起源は、第2次世界大戦前後に軍事目的で研究開発された様々な機械にあ るといっていい。これらは、例えば弾道計算、あるいは暗号解読といった特定 の目的のためにつくられたものであった。

特定の目的とはいえ実際に作られたものは、デジタル回路を使って計算するも の、要するに基本的には電卓と同じである。電卓との違いは、計算機では計算 の手順を指定できるということである。(プログラム電卓というのもあるが)

例えば2次方程式の解を求めるという計算を、電卓でするとすれば、解の公式 に従って人間が数字を入れ、演算キーを押していくということになる。これに 対し、計算機では、あらかじめプログラムで指定しておけば数字を読み込み、 計算し、答を表示するというのをすべて人間の操作なしで行なえるわけである。

初期の計算機というのは、大体以下のようなものであった。

Control unit は、いろいろな制御をするところである。 Arithmetic unit (算術演算部)は、計算をする。計算は、 Memory (メモリ、記憶装置)に入っ ているデータに対して行なう。メモリは、データを覚えておくところである。 初期の計算機では、2進数で例えば 36 桁 (36ビット)、 512語というくらい のものであった。512個の数をおぼえておけるわけである。このメモリが、計 算手続き(プログラム)と、データの両方をしまうのに使われる。

プログラム、入力データはどちらも適当な入力装置から読み込まれる。初期の 計算機では紙テープを使ったものが多かった。出力も同様で、やはり紙テープ にでる。計算機を使うには、まず紙の上にプログラムを書き、それをテープ穿 孔器でテープに落す。それを計算機にかけると、また答が紙テープ、またはプ リンタからでるといったものであった(そうである)。

このような構成は、いろいろ不便なものであった。というわけで、今の計算機 は例えば以下のようになっている。

初期の計算機との大きな違いは、まずハードディスクユニットがついているこ と、次に入出力装置が多様化したことである。(もちろん、速度、メモリの容 量が大きく向上したことはいうまでもない。これらは過去 40 年間にほぼ1億 倍になっている)

ハードディスクユニットは、メモリの拡張と考えていいが、メモリよりも安価 でさらに大容量であり、また電源を切っても記録内容が保存される。そのため に、プログラムやデータを、テープなどではなくディスクにしまっておくのが 普通になった。

多様な入出力装置は、計算機の用途を非常に広くした。現在、普通の計算機で はディスプレイ、プリンタに出力ができ、またキーボード、マウスから入力が できる。これらは主に人間を相手にするものだが、それだけではなく計算機同 士がコミュニケートするためのネットワークへの接続のための装置も持ってい るのが普通である。

来週の予定

来週は、コンピュータシステムの基本的な使い方として、 といったところを実際にやってみることにする。