講義第12回:全体のまとめ

今日は、全体のまとめということで、これまでにやったことを大雑把に 振り返ってみたあとは質問の時間ということにしたい。

お願い

「情報処理」の授業では、講義内容を改善していくためのひとつの手段 として、学生の皆さんによる講義評価を取り入れている。質問用紙と回 答用紙(マークカード)が入口のわきにおいてあるので、記入して時間 内に私か TA の人に出して欲しい。これは無記名であり、書いた内容が 評価に影響するとかいうことはあり得ないので、率直な評価をして欲し い。

あ、それから、質問用紙にも書いてあるはずだが、講義内容についての 一般的な意見、感想などがあれば、マークカードの裏に自由に書いてほ しい。

コンピュータシステムの基本的な使い方

やったのは大体上のようなことだが、少し注意しておいて欲しいのは、 「危険防止」ということである。ここで、危険というのは、具体的には 誰か悪意を持った人があなたのアカウント(ユーザー番号)を使って、 例えば以下のようなことである。 このようなことを防ぐためにパスワードというものがある。しかし、比 較的推測されやすい(破られやすい)パスワードを使っている人が多い とか、また、実際に破られたことが何件かあったため、今回、センター 側で、「ある程度の間変更されたことがないパスワードを強制的に変更 する」ことになった。センターからの連絡をみて、今年度中にあらかじめパスワー ドを変更しておくこと。

WWW (World Wide Web) による情報収集

まあ、このあたりは「使ってみる」というだけなので、、、自分が良く 使ういき先を登録しておく(Hot List) 方法とか、画面を印刷する方法と かは知っておくと便利であろう。

計算機とネットワークの仕組

これは第2回の資料に少し書いてあるが、あまり詳しく触れられなかった 話として、計算機やネットワークのの能力(速度、通信速度)といった ことをここで少し説明しておく。

この計算センターの計算機システムでは、皆さんが使っているのは X 端 末と呼ばれる簡単な計算機にキーボードと画面をつけたもので、これは 画面表示(ウインドゥの管理)とキーボード、マウスの入力を受け付け る能力しかもっていない。

実際に kterm (コマンドウインドゥ)とか Mule 、あるいは tgif といっ たプログラムが動くのは、ここでは「端末サーバー」と呼ばれる計算機 で、これは X 端末 7 台ごとに 1 台ある。言い換えれば、 7 人の人が1 台の計算機を分けあっているわけである。

端末サーバーでは、時分割処理(TSS, Time Sharing System) というやり 方で、たくさんのプログラムが見かけ上同時に動いている。実際にはこ れは、たくさんのプログラムを順番に切替えながらすこしづつ実行して いるだけなので、同時に走るプログラムの数が増えると段々速度が下がっ てくる。また、プログラムはメモリの上で走るが、同時に動いているプ ログラムで使うメモリ量の合計が、計算機が持っているメモリ量を超え てしまうと、溢れた分をディスクに書きだして、また必要になったらそ こから読み込むというようなことをする(ページング)。こうなると処 理速度がさらに落ちる。

例えば一人で Netscape や Mule をたくさん走 らせると、自分も他人も迷惑することになる。

さて、Mule など作ったファイルは、端末サーバーが持っているディスク にしまわれているのではなく、また別のファイルサーバーという少し性 能がいい(特にネットワークとの接続速度が速い)特別な計算機のディ スクにしまわれている。このファイルサーバーの持っているファイルは、 南棟、北棟のどの端末サーバーからも同じように使えるようになってい る。このために、どこに座っても同じように作業ができるわけである。

さて、ネットワークの速度というのはどれくらいだろうか?現在、 X 端 末と端末サーバーの間は Ethernet という名前の 10 Mbit/s (一秒間に 1000万ビット --- 大体60万文字分 --- 送れる速さ)のネットワークで つながっている。ファイルサーバーの間はこの10倍でつながっているが、 端末サーバー一台とファイルサーバーとの間で出る速度は 10 Mbit/s が 上限である。

これらは非常に速いように思うかもしれないが、結構そうでもない、と いうのは、使っている人数が多いとこれもまたわけあって使うことにな るからである。

これが駒場キャンパスの外との間になると、さらに速度は低下する。本 郷キャンパスとの間は現在 4.5 Mbit/s で、 X 端末と端末サーバーの間 より遅い。さらに国内のいろんな場所とかアメリカなど海外への接続と なると、速度が遅い(「線が細い」)上に使っている人数が多く、ほと んど使いものにならないほど速度が落ちていることが多い。

計算機とやりとりする

このへんは計算機を使う上でもっとも基本となることなので、どうす ればいいかはわかるようにしておきたい。

電子メイルによる情報交換

電子メイルは皆さん必要に応じて使っていることだろうし、特にいう べきことはない。ただ、注意して欲しいのは、「非常にたくさん(1000 人以上)の人に同じメイルを出す」というようなことは「絶対にしては いけない」ということである。

してはいけない理由は二つあって、一つは、「メイルが増殖する」可能 性があることである。つまり、仮にこのメイルを受けとった 1000 人の 中の10人が返事を書いたとすると、これがまた同じ 1000人に送られ、ま たそれに返事を、、、ということが続くと結構大変なことになる。

もう一つの理由は、メイルの面倒を見ている計算機がオーバーロードに なって止まってしまうこともあるということである。

ネットワークニュース、 WWW (ホームページを作る)

ここでは、特に注意しておきたいのは、「自分が出した情報は、世界中 から読む、あるいは見ることができる」ということである。具体的には、

計算機の原理 --- C 言語による簡単なプログラミング

これまでは Pascal を使っていたが、今学期から使う言語を C に変更し たので、こちらが不手際なせいもあってちょっとわかりにくかったかも しれない。一応参考書をあげておく。
参考書など
入門ソフトウェアシリーズ(1)C言語
河西朝雄、ナツメ社
(一応初級者向け)
プログラミング言語C第2版 B.W.カーニハン、D. M. リッチー、石田晴久(訳)、共立出版
(C言語の開発者による本格的な記述)
この他にも本屋さんにいけばいくらでも売っているから、適当なものを 買って読み、練習問題などをやってみるのが理解の助けになると思う。

なお、「自分はプログラマになるわけでもないし、C 言語なんか将来ずっ と必要になったりしない」と思っている人もいるかも知れないが、それ はかならずしもそうではない。実際に C 言語を使うことはあ まりないかもしれないが、 計算機を使って何かしようというときには、 それがワープロであれ、 Excel などの表計算/データベースソフトであ れ、プログラミングの基本的な概念を理解しているかどうかで使いこな せるかどうかが決まってしまうといっても過言ではない。

もちろん、実際に使うのが Excel のようなものであるならそちらを使っ て勉強したほうが効率的であるという考え方もある。これは確かにそう ではないとは言い切れないが、しかし、変数、繰り返し、関数などの基 本的な概念は、C や Pascal のようなプログラミング言語のほうが考え 方が明確である。その応用(延長)として表計算やデータベースシステ ムを考えることで、これらをより効率的につかうことができるようにな る(と思う)。

次回予告

次回といえば試験である。ここで試験問題全予告というわけにはちょっ といかないが、ある程度説明しておこう。試験は、持ち込み不可のペー パーテストで、UNIX システムの使い方に関する問題 1問、 C 言語のプ ログラミングに関するもの2問、総合問題(論述)1問の合計4問となる。 配点は1問25点であるが、最初にいったように(出席+レポート)と試験 は4:6程度の割合にするので、試験で半分とれなければ不可というもので もない。

ただし、レポートの3課題のうち、最初の2つはそれほど点差がつかない (提出していれば)ので、試験のできが不安な人は、最終レポートに力 をいれておいたほうが無難である。ここで最低限のことしかしていない と、それなりの点しかあげられない。

というわけで、半年間ごくろうさま。最終レポートと試験は頑張って下 さい。

なお、質問などがあれば makino 宛にメイルをくれてもいいし、緊急に 必要なら私の研究室(普段は 16 号館の 825 室にいる)に来てくれても いい。