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赤木 :重力多体問題の単位系の話、だいぶ前に話をしたんだけど、今一つ色々
な場合に使えるようになってない気がしたから整理するのにちょっとつきあって?
学生C:太陽がとか木星がとかの話でしたっけ?
赤木 :そう、それ。まずはは太陽と地球の話からね。
学生C:了解です。
赤木 : もちろん、普通に考えると、太陽の質量が SI 単位系で
<$2\times 10^31 \rm kg> で、重力定数がいくつで、とかで計算できる
んだけど。無駄に桁が多くわかりにくいので、太陽の質量を1、1天文単位(1AU)を
1、重力定数を1にする単位系で考える、という話はしたわね?
学生C:はい。で、そうすると、地球の軌道周期はその単位系で
になるので、逆にいうと時間の単には年ということになるわけですね。
赤木 :そうそう。なので、惑星形成のシミュレーションや太陽系の安定性のシミュレーションだとこの単位系を使うことが多いわね。
学生C:まあこれはいいですよね。
赤木 :じゃあ、順番に、ということで、木星とか、外側の惑星なら?
学生C:うーん、単位1AUのままででも問題ないですよね?
赤木 :まあそうね。1000AUのところを回ってるTNOなら?
学生C:そんなのありましたっけ?
赤木 :まああってもいいでしょう。この時に、軌道長半径が1になるような単
位系にしたら時間の単位はどうなるかしら?
学生C:軌道周期がその時間単位で になるのは同じですね。軌道周
期は 1000AU ならケプラーの第三法則から 年ですから、
時間単位は 年、5032年とかですね。
赤木 :多分それであってると思う。その辺になると、シミュレーションもやっ
ぱり軌道長半径が1とかの単位系のほうが無難よね。誤差推定とか時間刻み決
めるのとかがちゃんと無次元化されてないと滅茶苦茶な答になったりするし。
学生C:それはちゃんと無次元化できてないコード書くのが悪くないですか?
赤木 :そうだけど、そうなっちゃってることもあるのよ。
学生C:まあそうかもしれないですが、、、
赤木 :というわけでここまでの話を整理するわね、私達は基本的に系(惑星系
なら中心星)の質量が dir、系の大きさ(惑星系ならどれかの惑星の軌道長
半径くらいのもの、地球なら天文単位) 重力定数 の単位系
を考えますと、そうすると、時間の単位は自動的に決まって、これはの
ところでの軌道の周期が になることからわかると。なので、
ここでは 時間の単位は 年となると。
学生C:はい。
赤木 :では、距離の単位を 1AU じゃなくて にしたら?
学生C:さっきの話で軌道周期が なので、時間の単位は
年ですね。
赤木 :そう。これで話の半分はきたわけ。
学生C:あとの半分ってなんですか?
赤木 :ここまでで長さの単位と時間の関係がでたから、今度は質量の単位ね。
学生C:どんな場合ですか?
赤木 :一つは、中心星が太陽じゃない場合ね。例えば系外惑星。中心星の質
量が 太陽質量で、まず長さの単位が1AUだと時間の単位は?
学生C:地球と同じような円軌道を考えると速度が 倍だから、
周期が になって、時間の単位は
年ですね。
赤木 :そうね。じゃあ長さの単位を にしたら?
学生C: この場合でもやっぱりケプラーの第三法則で で長くな
るので、
赤木 :大変結構。これで、太陽質量と天文単位で考えてる限り、一般的な時
間の単位の計算式、ということになるわね。ただ、天文学や宇宙物理では、
スケールが大きくなるとパーセク使うから、こっちの式もだしときましょう。
学生C:パーセクってなんでしたっけ?
赤木 :高校の地学でならうんだけど、、、とってないわよね、、、パララックスが1秒になる距離。
学生C:秒って角度の秒ですね? 1度の 1/3600?
赤木 :そう。なので、
学生C:なるほど。
赤木 : で、まずは、質量の単位が太陽質量で長さの単位が1パーセクの時に
時間の単位は?
学生C:それはつまり長さの単位が ということで、
その 3/2 乗を で割って、 年ですね。
赤木 :じゃあ パーセクと 太陽質量なら?
学生C:
赤木 :そう。天文単位の時の式とパーセクの時の式で、同じ式なのに係数違っ
て気持ち悪いから、それぞれ単位が明確な式にしてみるわね。あと記号は
軌道長半径みたいな a, m は止めて L,M にして
学生C:
赤木 :
学生C:
赤木 :
学生C:
赤木 :
学生C:
赤木 :
学生C:
赤木 :
学生C:
赤木 :
学生C:
赤木 :
学生C:
赤木 :
学生C:
赤木 :
21. 単位系ふたたび
21.1. 太陽と地球
21.2. 遠くの惑星
21.3. 系外惑星
21.4. パーセク
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