私のところで GRAPE-DR の調整でバタバタしている間に、衝撃的なニュース
がきました。NEC、日立が次世代スーパーコンピューターの製造から撤退を表
明、それを受けて計画全体の見直し、というものです。
2年くらい前に、現在の計画の方向になる時点で、 49 や
50 でベクトルの開発の方向の問題点を指摘した私として
は、何故今頃になってそういうことを、、、と思うわけですが、まあ、巨大プ
ロジェクトというのはそういうもので、手遅れにならないと方向転換ができな
いものだということでしょう。
NEC のプレス発表には
今後、次世代スーパーコンピュータ・プロジェクトが製造フェーズへと移行す
る中で、製造フェーズに参画した場合、本体製造に関連する投資が相当額発生
することが見込まれ、この費用負担が今年度の業績に多大な影響を与える規模
となることが確実と見られることから、今般、同プロジェクトの製造フェーズ
の契約には参加しないこととしたものであります。
と書いてあります。これはつまり、理研が出してくれるお金では計算機を作れ
なくて、だいぶ赤字になる、それは現在の経済状況からやってられないのでお
りる、ということです。
この内容を額面通りにとると、そうはいっても元々総額いくらというのは知っ
ててそういう提案をしてきていたのに、途中まできて開発フェーズのお金を全
部もらった後でやっぱり作れませんというのは一体どういうこと?と思います
が、これは外部のものにははかりしれない色々な事情があってのことだと思い
ます。
結局のところ、 49 に書いたように、当初の複合型の案が
こけて、各社にシングルアーキテクチャで全方面をカバーするような提案を出
させ、スカラもベクタもその長所を失うようなアーキテクチャにさせて、それにも
かかわらずさらにスカラもベクタも採用する、という迷走が今日の結果を
招いたように思います。
とはいえ、手遅れ感はあるにしても製造フェーズにはいる前に構成変更の決断
をした、ということ自体は、高く評価してもよいのではないでしょうか?