100 kB も書くと書くことがなくなってきたと同時に、私の頭の中では物事が
整理されたような気がします。これまでに見てきたように、現在の並列計算機
は
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PC クラスタ以外は性能の割に高い
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PC クラスタは安いけどネットワークがアレで、性能も出ないしプログラム書くのも大変
というふうになっているわけですが、論理的にはこの問題を解決するには
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価格性能比が PC 1台より高く
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しかも PC 1台より値段が高い
ものを作ればいい、ということになります。PC に比べて値段が高くないとい
けないというのはちょっと感覚的に奇妙かもしれませんが、これは要するに、
PC に比べて量産効果が効かないところで勝負しないといけない、ということ
の言い換えです。ネットワークカードの値段を見るとわかるように、生産量が
少ないだけで値段はあがるので、それでも勝負できないといけないわけです。
で、現在の PC 用マイクロプロセッサが半導体の利用効率が高くてそれ以上性
能をあげようがないものであれば、上の条件を満たすことは不可能であり、並
列計算を考えるなら価格性能比のことは忘れるかイーサネットのPC クラスタ
で我慢するかしかない、ということになります。
しかし、現在の PC 用マイクロプロセッサは半導体の利用効率という観点では
恐ろしく低いので、もうちょっとなんかする余地はある、というのもこれまで
見てきたところです。その方向が GPGPU なのか、あるいは GRAPE-DR のよう
なSIMD 付加プロセッサなのか、はたまた貫通電極によってベクトルプロセッ
サが蘇るのかはまだわかりません。私はもちろん SIMD 付加プロセッサに将来
がある、と思うわけですが、これは自分の考えたものがかわいいというので強
くバイアスされているわけですから。
Jargon File を見るとこんなことが書いてあります:
:killer micro: n.
[popularized by Eugene Brooks c.1990] A microprocessor-based machine
that infringes on mini, mainframe, or supercomputer performance turf.
Often heard in "No one will survive the attack of the killer
micros!", the battle cry of the downsizers.
The popularity of the phrase `attack of the killer micros' is
doubtless reinforced by the title of the movie Attack Of The Killer
Tomatoes (one of the {canonical [?]} examples of so-bad-it's-wonderful
among hackers). This has even more {flavor [?]} now that killer micros
have gone on the offensive not just individually (in workstations)
but in hordes (within massively parallel computers).
[2002 update: Eugene Brooks was right. Since this term first entered
the Jargon File in 1990, the minicomputer has effectively vanished,
the {mainframe [?]} sector is in deep and apparently terminal decline,
and even the supercomputer business has contracted into a smaller
niche. It's networked killer micros as far as the eye can see. --ESR]
しかし、実際に起きたことは、 networked killer micros はスーパーコンピュー
タを殺しただけでなく、並列計算というもの自体を殺してしまった、というこ
とです。病気は直ったけど患者は死んだ、というわけです。
スーパーコンピューティングの未来は大規模並列計算にしかなく、 PC クラス
タは大規模並列計算への正しい道ではないとするなら、それ以外の、商業的に
成り立つ方向を選ぶ必要がある、と思います。