14.1. 茨城県産れんこん
我が家の近くの某デパ地下で買った茨城県産れんこんの測定結果を
図 78 と図 79 に示します。
Figure 78: 茨城県産れんこん。測定は12時間、結果は24時間に正規化。バックグラウ
ンドは22時間測定。水で洗う前。
Figure 79: 水で良く洗ったあとの同じれんこん。
洗ってもさしてセシウムは減らないので、表面についていた土のせいとかいう
わけではないようです。
0.8MeV のところで300カウントで、大体3ベクレル、このれんこんは 91g とラ
ベルに書いてあったので 33Bq/kg ということになります。結構高い汚染です
ね。
(財)食品流通構造改善促進機構
にあるデータを見るとれんこんは結構でていますが、茨城で30を超えるような
ことは起こっていなかったのですが、、、カリウムの寄与はあるはずですが、
6-7ベクレル程度のはず(カリウムの量が 100グラムあたり 0.24g とのこと)で
す。 0.8MeVまでだとカウントは20弱なので、影響は10%以下です。
生活クラブ生協の測定
では栃木県産で最大51Bq/kg がでているので、まあ色々測るとそれくらいのも
ある、ということかもしれません。
14.2. 静岡県産お茶
Figure 80: 静岡県産茶葉。測定は8時間、バックグラウンド測定は43時間、結果は24時間に正規化。
図 80 に静岡県産茶葉100グラムパックの測定結果を示します。
グラフの読み方を少し詳しく説明しておきます。
これは横軸にガンマ線のエネルギー、縦軸にTC100S のカウント数を示してい
ます。緑の線はバックグラウンドを43時間測定した結果を測定器のチャネル
毎に書いたものです。TC100S は 1.5MeV までを512チャネルに分割して測定し
ています。 0.1MeV くらいから下は測定していないようです。
43時間測定した結果ですが、24時間当りのカウントになる
ように 24/43 倍しています。赤がお茶のほうの測定で、これはおよそ8時間と
短い測定で、同様に24時間当りのカウントになるように補正しています。
赤と緑を比べると、赤のほうがカウントが多くて何かある、というのはわかる
のですが、定量的にどれだけ、というのは良くわかりません。定量的な結果を
みやすくしたのが黒の線で、これは赤の線と緑の線の差、つまりネットで
お茶からの放射線と考えられるものを、 0.3MeV から積算していったものです。
基本的に、赤の線が緑の線の上にでている分がお茶からの放射線ですから、
これをセシウムの場合には 134 の高いほうのエネルギーである 0.8MeV 以下
のところを合計したものが意味がある信号になります。
セシウム自体はほぼ 0.6, 0.662, 0.8 の3つのエネルギーのガンマ線しかださ
ないのですが、検出器のほうはまずエネルギー誤差があってそれが10%程度の
範囲に広がり、さらにコンプトン散乱という、ガンマ線のエネルギーの一部し
か吸収しない反応が多いのでもっと低いエネルギーで連続的に検出器のカウン
トがでることになります。その辺も使って感度を上げるのがここでのアプロー
チです。
このグラフで 0.8MeV のところは 1240 くらいの値になっています。
これは基本的にセシウムからのガンマ線と、K-40 からのガンマ線の合計です。
お茶の場合はカリウムを相当量含んでいるのでその補正をまず行います。
図 75 がカリウムを54g含むと考えられる「やさしお」のスペ
クトルです。これから、カリウム1gあたりのカウント数は 0.3-0.8MeVの積算
では70程度とわかります。1.5MeV では122です。
茶葉のカリウムは 100g当たり2.4g程度という資料があるのでこれを使うと、
0.8MeV までで170カウント、1.5MeVまでで 290カウントです。0.8MeVより上だ
と120 カウントということになり、測定結果は200弱でだいぶ多いです。
カリウムがもうちょっと多い可能性はあります。
一応、0.8MeV までで170カウントの数字を使うとカリウムを引いた残りのセシ
ウムは 1070 カウント、ということになります。
さて、グラフの青い線は1σの誤差を表します。誤差とか統計的推定の解釈は
色々ややこしいですが、大雑把にいって、本当の値は測定値から 3σの
範囲に 99.7% くらいの確率で入っているといえます。1σの値は 0.8MeV で
100程度でしたから、カウントの本当の値はは 770 から 1370 の範囲であろう
といえます。
最後に、これをセシウムの量に換算します。
図 73 が100Bq/kg 程度だった生しいたけ100gのスペ
クトルで、 1100 カウント程度です。つまり、10Bq で1100カウント、1Bq で
110 カウント程度です。従って、茶葉のセシウムの量は 7-13Bq の範囲、
100グラムのお茶の測定なので 70-130Bq/kg となるわけです。
なお、この程度あると、遮蔽なしでも測定可能な範囲と思われます。