13. 福島県産ほうれんそうなど (2012/3/8)
我が家の近くの某デパ地下で買った福島県で有機農法(若干怪しげな名がついていました)で作られているほうれんそうの測定結果を図
77 に示します。
Figure 77: 福島県産ほうれんそう。測定は8万秒、結果は24時間に正規化。バックグラウ
ンドは34時間測定
これは6ベクレル程度の量で、サンプル重量は200g 程度だったので30Bq/kg と
いうことになります。ちょっと多いので、本当か?と思って Ge で測定しても
らいました。その結果は、Bq/kg で
水洗い前 水洗い後
Cs134 16(112) 4(28)
Cs137 20(113) 8(43)
です。括弧内は有効カウント数で、これで決まる程度の誤差があります。水洗
いで 1/3 程度まで下がることがわかります。水洗い前の数値は合計35Bq/kg で、
TC100S での測定で 30Bq/kg だったので良く一致していて、TC100S でそれなり
の測定ができていることが確認できました。8万秒測定で、3σでの検出限界が
10Bq/kg という辺りになっています。
福島県のどこで生産されたものかは不明ですが、それなりに放射性セシウムを
含んでいて、水洗である程度落ちるけど限界はある、ということです。
(財)食品流通構造改善促進機構
にあるデータを見ると最初の数ヶ月を除いて福島県でもほうれんそうはほぼ
検出限界以下なのですが、検出限界がCs合計 20-40Bq/kg 程度なので10程度だ
と検出限界以下になっているだけ、ということかもしれません。
東京では福島県産と明示された野菜が出回っていることは少なく、私が昨年12
月以降に購入したのはりんごとこのほうれんそうだけです。どちらも暫定基準
や、来年度以降の新基準に比べても低いとはいえ TC100S で測定可能なほどの
汚染でした。福島県ならどこでも駄目、というわけではもちろんないはずです
が、「福島県産」とだけしか情報がないものはやはりそれなりに汚染されてい
る可能性が高い、と考えるべきと思います。
ついでに、以前こちらで測定して 100Bq/kg となった群馬県産原木生しいたけ
について、Ge で6本を個別に測定してもらいました。このしいたけは乾燥させ
てあって(もとは1つ15gくらいです) Bq/kg はあまり意味がないので、カウント
値だけを書くと
Cs134 Cs137
シイタケ1 91 152
シイタケ2 45 95
シイタケ3 1046 1184
シイタケ4 3 14
シイタケ5 27 45
シイタケ6 38 41
となっていて、放射性セシウムの8割程度が1本のシイタケだけに集中していた
ことが判明しました。この大きなばらつきの原因がなにかは不明です。例えば
農場によるとか原木によるであればそれなりの対策がとられるべきであろうと思います。