最新の宇宙像

講義全体について

  1. 講師
    理学部天文学専攻、各教員によるオムニバス
  2. 講義の時間、場所
    金曜日 16:20-17:50, 1341
  3. 評価
    レポート

講義紹介

最近の観測技術の進歩、計算機の発展に伴い、これまで知られて いなかった天体・宇宙の新しい姿が明らかになってきている。 本ゼミナールでは、理学系研究科天文学教室の各教官が、それぞれの 専門分野での最新の大望遠鏡、衛星等による観測データ、あるいは 数値シミュレーション等の結果に基づいて、太陽、惑星系、超新星、 銀河系、星団、から遠方銀河までの様々な天体・天体現象についての 最新の話題を、わかりやすくオムニバス形式で解説する。

講義予定

  1. 計算機の中に宇宙を作る 担当牧野淳一郎 (4/9,16)

    天文学の扱う対象は文字通り「天文学的」な大きさをもち、実験室でその振舞 いを調べるというのは不可能である。しかしながら、天体の形成・進化を支配 する物理法則は地上のものと同じであるので、計算機の中に物理法則にしたがっ た「実験室」を作ることである程度本当の実験の代わりをすることができる。 そのような計算機実験による天文学の成果のいくつかを紹介する。

  2. 超新星が語る宇宙の運命 担当野本憲一 (4/23,30)

    星は進化し、あるものは超新星という大爆発を起こす。その機構を概説すると ともに、遠方に出現した超新星の観測によって、宇宙の膨張が重力によって減 速されたり 未知の力によって加速されたりする様子をさぐる研究を紹介する。

  3. 天文学は宇宙の考古学 担当岡村定矩 (5/7,14)

    考古学者は地面を掘って過去を見るが、天文学者は遠くの天体を見て 過去を見る。現在の広大な宇宙の姿と、観測によって宇宙の歴史を 遡る天文学の基本手法を概観する。

  4. 太陽のなぞに迫る 担当柴橋博資 (5/21,6/4)

    太陽は光や電波、X線等の様々な電磁波によって観測がなされてきた。これらは、あ くまで太陽表面から外側の観測であった。最近、直接目で見ることの出来ない太陽の 置く深くを探る研究が注目されている。1つはニュートリノの測定であり、もう1つ は太陽の音波を使う研究である。これらの手法と成果を概観する。

  5. スペースからの天体観測 担当尾中 敬(6/11,18)

    衛星・ロケットなどを利用した天体観測、特に赤外線の最近の 観測による、遠方銀河の研究、あるいは系外惑星の探査などに ついて解説する。

  6. 太陽をはじめとする天体の磁場の起源と活動を探る 担当吉村宏和 (6/25, 7/9)

    太陽をはじめとする多くの天体は磁場を持っている。 この磁場は、固体の磁石によってでなく、電離した気体であるプラズマの 運動によって励起されている。この磁場の起源のメカニズムと磁場によって もたらされる天体の活動のダイナミックスを概観する。

  7. 元素で探る宇宙の歴史 担当茂山俊和 ({7/16})

    身の回りにある多くの元素は星の中で長い年月をかけて合成され銀河の進化 とともに蓄積されてきた.様々な星のスペクトルを解析することでその 歴史を解き明かす試みを紹介する.

レポートについて

担当教官は全員、大学院理学系研究科天文学専攻所属の教官である。合否判定は 各教官が要求する全部で7つのレポートで、4つ以上合格点の付いた人を合格 とする。