23.2. 牛乳
図 86 は上のお茶と同じコンビニで買ってきた産地が書いてない大手メーカー
の牛乳です。牛乳はそのまま測定では我が家の環境では検出限界以下になるで
あろう、ということで、テフロン加工のフライパンで煮詰めてから測定にかけ
ています。
Figure 86: 某コンビニで買った牛乳。1リットルを煮詰めて250g 程度にしてから8万秒測定。結果は24時間に正規化。バックグラウンドは24時間測定。
煮詰めて測定しようと提案して、実際に煮詰めたのは私ではないです、とそん
なことはともかく、煮詰める前の値に戻すと1.67 ± 1.65 Bq/kg となりました。
グラフでは5σくらいありそうなのに、測定結果では3σになっているのはカリ
ウム補正の効果のためです。ここでは、カリウムが牛乳1リットルあたり 1.5g
としました。グラフの形からはこれはちょっと多すぎるのではないかという感
じもするので、本当のセシウムの量は1.67Bq/kg よりももうちょっと多い可能
性が高いです。
東京で普通に売っている牛乳に 2Bq/kg 近くもの放射性セシウムがはいってい
る、というのはかなり意外な結果ですから、検証が必要です。検証として、産
地が西日本(島根県)と書いてある牛乳を同じ方法で測定してみました。これは
某デパ地下で購入したものです。図 87 にスペクトルを示します。
コンビニ牛乳と同様にカリウムを 1.5g/l として補正すると、セシウムの値は
0.2 ±1.7Bq/kg となり、セシウムゼロと矛盾しない数字でした。ですので、上
の 1.65Bq/kg は測定誤差、というわけではどうもなさそうです。
Figure 87: 某デパ地下で買った島根県産牛乳。1リットルを煮詰めて250g 程度にしてから6万秒測定。結果は24時間に正規化。バックグラウンドは24時間測定。
牛乳は今年度初めからの新基準でも 50Bq/kg という値ですから、法律上は
1.67q/kg は全く問題のないものですが、子供に飲ませるのは、、、と思う人は
西日本や北海道産とわかっているものを調達すれば、測定までしなくても
セシウム含有量の低いものになる、ということです。
まあ、私の2サンプルだけの測定でこんな一般的な結論を出すのは無理ですが、
牛乳の放射能汚染まとめ
というページにある色々な測定結果(主に securitytokyo さんによる Ge での
長時間測定によるもの)でも、同様に大手メーカーの産地不明のものでは
1-2Bq/kg 程度が多いのに対して、西日本産では 0.1Bq/kg 以上のものは
ない、というような結果になっています。
23.3. 牛肉
牛乳で検出されると、牛肉はどうなんだろう?という気分になります。
というわけで、某デパ地下(上の島根県牛乳を買ったのとは別の店舗)
で売られていた「国産黒毛和牛切り落とし」というのを測定した結果が
図 88 です。
Figure 88: 某デパ地下で買った国産黒毛和牛。200g を 18時間測定。結果は24時間に正規化。バックグラウンドは24時間測定。
セシウムの値は 9.16± 8.70 Bq/kg となりました。カリウムの割合が重量で
0.3% として補正しています。まあその、たまたま高いものを買ってきたのか
もしれないですが、国産牛肉としてこれくらいのものは流通している、という
ことです。100Bq/kg が規準ですし、ほとんどの自治体等の測定では検出限界
を 25Bq/kg にしていますからその下の分布はよくわからないわけで、
10Bq/kg が普通なのかどうかはこの1データからは判断しようがないわけです
が、、、牛肉に関しては、 Ge で高精度に測定しました、というデータが
あまりないようです。
10Bq/kg は食べたく(食べさせたく)ない、と思うなら産地が明らかなもの
を買うほうが良いでしょう。もちろん、産地が西日本でも福島県の稲わらを
餌に使いましたといったこともありえるわけですが、確率的には産地不明のも
のよりは汚染が少ない可能性が高いからです。